プラスチック部品への不均一な接着剤塗布

接着剤の塗布監視は、様々な業界において製品の品質と信頼性を高めるために重要です。接着剤を均一に正確に塗布することで、最適な接着強度が保証されます。製造プロセスでは、リアルタイムでモニタリングすることにより接着剤の不足や過剰などの異常を検出し、潜在的な不良やコストのかかる手戻りを防ぐことができます。接着剤の塗布位置を監視することで、プロセスの効率を維持し、無駄を削減し、業界標準への準拠を確保することができます。

接着の品質が安全性と機能性に直接影響を与える自動車、航空宇宙、エレクトロニクスなどの分野の多くの企業、特に航空宇宙および防衛産業では、接着の品質管理およびドキュメンテーションが必要です。場合によっては、数か月または数年後に製造プロセスのパラメータを検証するために、すべての部品に関して文書化が必要になることがあります。

様々な業界向けにカスタムの自動化機器を設計開発するエンジニアリング会社は、リブ付きプラスチックシートに接着剤を塗布するシステムを開発する必要がありました。２枚のプラスチックシートを貼り合わせて接着した製品は、仕上がりの品質が不安定であり、接着剤の塗布をより均一にする必要がありました。長さ900mmの２枚のプラスチックシートが接着剤塗布システムから３秒ごとに排出されます。製造施設の周囲温度によっても異なりますが、ビードに隣接する領域は25℃程度、接着剤ビードは170℃程度で塗布されます。顧客はハンディタイプの赤外線サーモグラフィーカメラを使用し、手動検査によってある程度の品質を維持していましたが、検査プロセスはより効率的に定量化される必要がありました。

設置型赤外線サーモグラフィーカメラによる接着剤の塗布

サーマルカメラにより継続的なリアルタイム観察が可能になり、不均一な塗布や不十分な硬化、過熱などの不良を即座に検出します。物理的な接触なしで動作するため、接着剤塗布プロセスの中断や汚染のリスクがありません。赤外線サーモグラフィーセンサーにより、詳細な熱画像データが得られるため、徹底した品質管理が容易になります。

この用途で均一な接着剤の塗布を実現するには、設置型の赤外線サーモグラフィーカメラを使用して、排出した直後の瞬間に塗布した個所を観察するのが最善の方法です。接着剤ビードのサイズと位置は長波長赤外線サーモグラフィーカメラで簡単に検出および測定でき、塗布の品質はプラスチック部品上の高温個所に対応しています。

接着剤の物理的な面積を正確に測定するにはプログラムの開発が必要となりますが、塗布の適切さを判断するだけであれば必要ありません。接着剤ビードとその隣接する温度の両方を含めた部品上の特定の領域を監視することができます。この測定エリア内の全ピクセルの平均温度は、カメラが排出した直後に画像を取得・保存し、測定エリアが一定である場合、接着剤の塗布を評価するために使用できます。テストにより、平均85℃で適切なサイズの接着剤ビードとなっていることを示しました。測定される平均温度は85℃未満になり、接着剤ビードが許容範囲よりも小さくなると、アラーム信号がトリガーされます。

PIX-Connectソフトウェアのイベントグラバー機能は、撮影対象が通過することで発せられる透過型光電センサーからの入力信号を、PIF（IO端子）が受信することで温度画像を保持します。この機能は、高速で対象が移動するアプリケーションで利用されています。接着ゾーンの温度を理想的なタイミングで捕捉できるように、ホールドオフ時間は 1.5秒に設定されています。

Optrisの赤外線サーモグラフィーカメラは全ピクセルの温度情報を常時取得しているため、PIX-Connectソフトウェアで保存したTIFF画像ファイルでは熱画像と同時に全てのピクセルの温度値を確認することができます。このサンプル画像は、PI640i（640×480）で２m離れたところから水平視野33°のレンズを使用して取得されており、クライアントが要求を満たす詳細な情報と画質を提供しています。このアプリケーションには中程度の解像度（320×240）でも十分活用いただけます。レンズと作動距離（WD）を調整することで、さまざまなサイズの部品にも対応できます。