産業用UVCカメラのすすめ 産業用UVCカメラのすすめ

UVCカメラとは

UVCとはUSB Video Classの略で、USBインターフェース上でカメラの操作・制御や映像データの伝送方法を定めたものです。一般的にはWEBカメラで広く使われている規格です。UVCカメラは、OS側がドライバを用意しているのでカメラメーカがドライバを用意する必要がなく比較的ローコストです。PCのUSBポートに接続するだけですぐに動作させられるので、とても簡単で広く普及しています。

UVCカメラユーザにとってドライバレスのメリット・デメリット

UVCカメラはドライバレスとよく言われていますが、実際はOSが標準で持っているドライバで動作しています。
カメラメーカ側ではなくOSサイドがドライバを用意していることによって、カメラメーカがドライバやビューワソフトをサポートする必要がなくなります。その結果、カメラのコストは抑えられる傾向にあります。また、ビューワソフトメーカもドライバを考慮する必要がないので、様々なサードパーティー製ビューワソフトが第三者によって提供されることになります。こういった背景から、ユーザはローコストなUVCカメラと目的に適したビューワソフトが使えるといったメリットを享受できています。
しかし、UVCカメラはとても便利な一方で、限界もあります。それはカメラメーカとは別の第三者がドライバを作るという事は、カメラメーカが独自に実装したカメラの機能を、必ずしも全て使えるわけではないという事です。UVCカメラをUVCカメラとして使うことで、「画像取得ができてもデバイス固有の機能が制限されている」、「フレームレート等の性能が十分に発揮できていない」というドライバ依存の不便に見舞われる事があります。その場合、ハードウェア、ドライバ、ソフトメーカがバラバラなので殆どのケースで問題解決が難航します。まとめると以下のようになります。

メリット デメリット
ユーザ ・ドライバインストール不要
・色々なアプリで使える
・安い
・カメラの性能を十分に発揮できない場合がある
・トラブル時原因の特定が困難

産業用カメラの場合は、「機能・制御性・性能・サポート」が重視されるので、カメラメーカがドライバやビューワソフト、制御用プログラムを用意しています。

汎用的な安いUVCカメラと比較し、見えてくる産業用カメラの良さ

UVCカメラは、ドライバレスの為ローコストで汎用的なアプリケーションが使えるというメリットがあります。一方で産業用カメラの場合は、基本的にカメラメーカが用意した専用のドライバソフトウェアを使用する事になります。その為、OSに対する最適化やバグフィックスなど、随時ドライバをUpdateしています。ドライバだけではなく、最適なCマウントレンズが取り付けられる、自動露光、自動ゲインの制御をOFFにする等の制御ができる、SDKを使ったカメラ制御プログラムやサンプルがあり、貸出や技術サポートも受けられるといったメリットがあります。また、カメラを使った画像検査装置を製品化する場合は、組み込んだカメラがモデルチェンジや生産終了になるとせっかく設計した装置も設計の見直しが必要になります。その観点では長期供給性も重要になりますが、産業用カメラは長期供給性が考慮された製品です。UVCカメラと産業用カメラの比較をまとめると以下のようになります。

UVCカメラ(WEBカメラ) 産業用USBカメラ
解像度 Full HD程度 4Kクラスも可
フレームレート 60fps程度 3000fps以上も可
イメージセンサーの選択性 汎用品な為少ない 多い
レンズの変更 基本不可 可能
通信の安定性 OSのドライバ次第 安定動作
ドライバのバグ ノンサポート カメラメーカが対応
画質 画像圧縮で画質犠牲 画像処理に適したRAWデータ
制御可能なカメラ機能
メーカが用意する
SDKを使ったカメラ制御
SDKの属人的サポート
貸出対応 不可
長期供給性 頻繁なモデルチェンジ 長期供給

ドライバレスのUVCカメラと性能の良い産業用カメラを、性能、デバイスの汎用性、開発環境の汎用性といった観点からまとめると以下のようになります。

性能 デバイスの汎用性 開発環境の汎用性
UVCカメラ
産業用カメラ ×

性能については産業用カメラ、デバイスの汎用性についてはUVCカメラ(WEBカメラ)、開発環境の汎用性については、UVCカメラにそれぞれ軍配が上がります。

産業用カメラとUVCカメラのいいとこどりをしたい

産業用カメラは、カメラメーカがドライバを用意し、デバイス制御用開発環境(SDK)も用意しています。もしUVCカメラとしても使える産業用カメラがあれば、自分が使いたいアプリケーションや開発環境に応じて切り替えて使うことで、デバイスの汎用性と開発環境の汎用性が大幅にアップすることになります。そのような産業用UVCカメラのようなものがあるのかというと、あります。それがTheImagingSource社(以下TIS社)製の産業用USBカメラです。同社のラインナップにはレンズのフォーカスをPCから制御できるモデルもあります。

性能 デバイスの汎用性 開発環境の汎用性
UVCカメラ
産業用カメラ ×
産業用UVCカメラ

TIS社はICImagingControlというカメラ制御用ライブラリを用意しており、各種サンプルコードも豊富に提示しているのでゼロからカメラの開発をする場合はTIS社の専用ドライバとSDKで行っていただくのが簡単で速いのでおすすめです。ただ、もしすでにUVCカメラの開発資産がある場合はそちらの環境に合わせてUVCカメラとしてご利用いただく事もできます。産業用カメラの入門として、WEBカメラからステップアップするのも一つですが、メーカの開発サポートがMan to Manで受けられる産業用”UVC”カメラに最初から着手するのも一つの手です。

産業用カメラでUVCカメラとして動作するもの

DFKシリーズ
UVCデバイスとして認識。C/CSマウントUSB2.0カメラ。小型で低価格。カメラ三脚標準付属。
DFKシリーズ
UVCデバイスとして認識。USB3.0Vision準拠。フレームバッファ搭載。
最新のPYTHON、Starvis、Pregiusセンサー搭載カメラ。
DFK-Fシリーズ
UVCデバイスとして認識。レンズ交換可能なオートフォーカスカメラ。
フォーカス位置をSDKからコントロール可能。USB2.0とUSB3.0のモデル有。

OpenCV・オープンソースにも対応

OpenCVは画像処理のオープンソースライブラリであり、世界中の多くの人が利用しています。TIS社の産業用カメラはOpenCVに対応しており、UVCに対応していないGigEカメラや電動ズームレンズ内蔵GigEカメラでもご利用いただけます。

オープンソースのすすめ