産業用UVCカメラのすすめ 産業用UVCカメラのすすめ

産業用UVCカメラ 33U、37U、27U、32Uシリーズの違い

The Imaging Source社の産業用UVCカメラには、DFK33UシリーズDFK37UシリーズDFK27UシリーズDFK32Uシリーズ(以下33Uシリーズ、37Uシリーズ、27Uシリーズ、32Uシリーズ)と4種類あります。それぞれ違った特徴があります。大きな特徴としてはFPGAが搭載されているリッチハードウェアの33Uシリーズ、FPGAが搭載されていない必要最低限構成の37U27U32Uシリーズのローコストモデルという2つに分けられます。

DFK33U、37U、27U、32Uシリーズ

カメラに搭載されるFPGA搭載について

33UシリーズにはFPGAが搭載されており、37U27U32UシリーズにはFPGAが搭載されていませんが、33Uシリーズは搭載されるFPGAによって、様々な機能が実装されています。例えば、多彩なトリガー機能です(下図参照)。モデルによって実装機能は様々ですが、代表例としては「バースト機能(※)」などがあります。

※1回のトリガーで複数回の撮影ができるといったもの。その他の機能についてはこちら

DMK33UX178のデバイスプロパティ
33Uシリーズ
DFK37BUX178のデバイスプロパティ
37Uシリーズ
DMK27BUR0135のデバイスプロパティ
27Uシリーズ
DFK32BUR0234のデバイスプロパティ
32Uシリーズ

しかし、すべての用途に必ずしもリッチなFPGAが必要というわけではありません。例えば、静止画を撮影して保存をするだけ、カメラを使ってモニターに表示観察するだけ、多彩なトリガーは特に不要、といった場合などです。殆どの用途では37U27U32Uシリーズで仕様を満たすことができますが、数千円のコストが特段気にならない場合は33Uシリーズを選んでおくと無難でしょう。

UVCやUSB3Vision規格への対応

33U37U32Uシリーズは、UVCとUSB3Visionといったマシンビジョンの標準規格の両方に対応しています。この汎用性によって、サードパーティー製のソフトウェアやオープンソースでの開発も簡単に行っていただくことができます。一方で、27UシリーズはUVCにのみ対応しておりUSB3Visionには対応していません。33U37U27U32Uシリーズのいずれも、TheImagingSource社のUSBドライバとICImagingControl(カメラ制御用SDK)を使って開発していただく場合はUVCなのかUSB3Visionなのかを気にする必要はありませんが、以下のような場合は、33Uシリーズを選んでおくといいでしょう。

  • Linuxなどのオープンソース環境で利用する場合
  • サードパーティー製ソフトを使う可能性のある場合
  • 開発に拡張性を持たせたい場合
  • 数千円のコスト差は特段問題ない場合

以上、FPGAやUVC、USB3Visionなどまとめますと以下の通りです。

仕様 33Uシリーズ 37Uシリーズ 27Uシリーズ 32Uシリーズ
FPGA × × ×
USB3Vision ×
UVC
コスト

USB2.0モデルを選択する理由

33U37U27UシリーズはUSB3.0インターフェースを搭載していますが、32UシリーズはUSB2.0インターフェースを採用しています。USB3.0とUSB2.0の違いは下記の通りです。

転送速度 / 帯域幅

USB3.0は理論上5Gbpsの転送速度を持つのに対し、USB2.0は480Mbpsと、約1/10の帯域幅しかありません。そのため、USB2.0カメラはUSB3.0カメラと比べると解像度やフレームレートに制限があります。しかし、障害物検知、バーコードスキャン、QRコードリーダーなど、高解像度や高フレームレートを必要としないアプリケーションでは、USB2.0カメラでも十分に対応することができます。

消費電力

USB3.0の最大供給電力は900mA、USB2.0は500mAであり、USB3.0対応デバイスの方が消費電力が高くなります。そのため、Raspberry Piなどのシングルボードコンピュータ、バッテリー駆動のタブレット端末など、省電力が求められる環境ではUSB2.0カメラの方が適しています。
例えば、USB3.0カメラのDFK33UX273の消費電力は約3.3W(約660mA @ 5VDC)で、USB2.0カメラのDFK32BUR0521の消費電力は約1.55W(約310mA @ 5VDC)となりUSB3.0カメラの方が約2倍の電力を消費します。

コストパフォーマンス

USB2.0カメラはUSB3.0カメラと比べて低価格で、コストを抑えたい用途に適しています。例えば、高解像度や高フレームレートが必要としないアプリケーションでは、USB2.0カメラが適しています。一方で、高解像度の外観検査、高精度な寸法測定、高速撮影が必要な解析などの用途では、33UシリーズなどのUSB3.0対応モデルの方が適しています。

USB3.0とUSB2.0の違いをまとめると下記の通りです。

インターフェース USB3.0 USB2.0
カメラシリーズ 27U/33U/37Uシリーズ 32Uシリーズ
転送速度(理論値) 5Gbps 480Mbps
消費電力(理論値) 900mA 500mA
コスト

その他の特徴

上記のFPGAの搭載有無と規格への対応以外にも細かい差があります。USBコネクタ形状、10mケーブルオプション有無、トリガーコネクタ形状、基板の形状、格安ボードモデルの有り・無しなどです。

仕様 33Uシリーズ 37Uシリーズ 27Uシリーズ 32Uシリーズ
USBコネクタ USB3.1(Gen1)
マイクロB
USB3.1(Gen1)
タイプC
USB3.1(Gen1)
マイクロB
USB2.0
Mini-B
10mケーブルオプション 有り 無し 有り 無し
トリガーコネクタ ヒロセ12pin ヒロセ4pin ヒロセ4pin ヒロセ4pin
基板 複数基板 1枚基板 1枚基板 1枚基板
格安ボードモデル 無し 有り 有り 有り

産業用カメラでUVCカメラとして動作するもの

DFKシリーズ
低消費電力のUSB2.0カメラ、低コストで軽量なUSBケーブルや、USB3Visionの開発環境をそのまま流用可能。
DFKシリーズ
UVCデバイスとして認識。C/CSマウントUSB2.0カメラ。小型で低価格。カメラ三脚標準付属。
DFKシリーズ
UVCデバイスとして認識。USB3.0Vision準拠。フレームバッファ搭載。
最新のPYTHON、Starvis、Pregiusセンサー搭載カメラ。
DFK-Fシリーズ
UVCデバイスとして認識。レンズ交換可能なオートフォーカスカメラ。
フォーカス位置をSDKからコントロール可能。USB2.0とUSB3.0のモデル有。