グローバルシャッター、ローリングシャッターとは?
そもそもシャッターとは?
民生品のカメラの界隈での「シャッター」という言葉の使われ方は、産業用カメラでいうところの「露光時間」や「フレームレート」と混同して使われている場合があります。産業用カメラは露光時間もフレームレートも、それぞれ制御ができるのでこれらは明確に区別をする必要があります。露光時間とフレームレートの意味についてはこちらをご参照ください。このページではグローバルシャッターとローリングシャッターについて説明していきますが、ここで言うシャッターは露光時間の事を指しています。
ローリングシャッターとは?
産業用カメラの重要なスペックで、グローバルシャッターとローリングシャッターがあります。ローリングシャッターとは、イメージセンサのピクセルの上の行から順番に露光を行い電荷に変換された電子を上の行から順番に読み出すシャッター方式の事を言います。
すなわち、1枚の画像の上部と下部では撮影タイミングが異なっています。1枚の画像の上部と下部で撮影タイミングが異なると、動いている撮影対象物は以下のように像が歪んでしまいます。
ローリングシャッターのカメラは、移動体を撮影すると像が歪んでしまいますが、イメージセンサがローコストなので全般的に解像度の割にカメラもローコストな傾向にあります。撮影対象物が静止している場合は、ローリングシャッターのカメラを選択することが合理的と言えます。
グローバルシャッターとは?
グローバルシャッターのカメラの場合、イメージセンサの露光と読み出しはすべてのピクセルが同じタイミングで行います。
すなわち、1枚の画像の上部も下部の撮影のタイミングは同じなので、動いている撮影対象物を瞬間的にとらえてもローリングシャッターのように歪んでしまうことはありません。ちなみに、移動体を撮影する場合はオンザフライと言います。移動体の撮影は露光時間をどれくらいに設定するべきか、移動体の速度・視野サイズ・解像度から算出する必要があり、それらの要素に対して移動体のスピードが速すぎるとブラーが発生します。こちらもご参照ください。
グローバルシャッターのカメラは、イメージセンサのピクセルの回路の設計上1ピクセルが大きい傾向にありセンサのコストも高価な為、1000万画素を超えてくるとたちまちカメラの価格も跳ね上がる傾向にあります。動いている撮影対象物の場合は、一般的にIMX273やIMX265/IMX252の搭載されたセンサカメラを用いることが多いです。
結局、グローバル/ローリングどちらがいいのか?
基本的には、撮影対象物が動かない場合はローコストなローリングシャッターのカメラを、撮影対象物が動いていて瞬間の撮影が必要な場合はグローバルシャッターのカメラを選ぶ必要があります。ローリングシャッターのグローバルシャッターに対する優位性は、感度が優れているセンサが多い点、コスト優位性があるという2点ぐらいです。
移動体の撮影だけどローコストにローリングシャッターのカメラを使いたい
必ずしも、移動体の撮影にはローリングシャッターのカメラが絶対にダメ、というわけではありません。ローリングシャッターの歪みはフレームレートに依存しています。フレームレートが撮影対象物の移動速度に対して十分に早ければ、撮影対象物が動いていても歪みはそれほど気にならないレベルに削減することができます。CMOSセンサが搭載されたカメラは解像度を下げて出力する(=ROI機能)という事ができますので、そうするとフレームレートを上げる事ができます。
グローバルシャッターとローリングシャッターカメラ
シャッターはイメージセンサーによって決まっています。産業用カメラには様々なイメージセンサーが搭載されています。詳細は以下のリンクよりご参照ください。
産業用カメラでUVCカメラとして動作するもの
最新のPYTHON、Starvis、Pregiusセンサー搭載カメラ。
フォーカス位置をSDKからコントロール可能。USB2.0とUSB3.0のモデル有。