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Hesai Technology

3D-LiDARセンサの原理とアプリケーション

LiDARとは?


ToFを利用した距離測定

LiDAR(ライダー)は、「Light Detection And Ranging(光の検出と測距)」または「Laser imaging Detection And Ranging(レーザー画像検出と測距)」の略です。

LiDARの測距の手法にはToF方式とFMCW方式があります。ToF(Time of Flight:飛行時間)は、パルス状に発光するレーザー光を対象に照射し、対象物から反射して戻ってきた散乱光を光学センサで検出、レーザー発光から受光までの時間から右記の計算式で距離を算出します。FMCW(Frequency Modulated Continuous Wave:周波数連続変調)方式は、送信波と受信波の周波数の違いから距離を求めます。これらの手法はレーダーと同様の原理であり、電波の代わりにレーザー光を用いて距離センシングを行うことから、LiDARは別名「光学式レーダー」や「レーザーレーダー」とも呼ばれます。

レーザー光には近赤外線波長域の素子が使われることが多く、レーザー光の光束を光学的に絞り込むことで、数百mの長距離センシングと高い光学解像度を実現しています。LiDARでは通常、人体への影響が最も低いクラス1のレーザーを使用されており、直接目や肌に当たっても危険性がないEye-Safe(アイセーフ)と呼ばれます。

LiDARには、1本のレーザーを水平方向に回転させることで二次元(距離、角度)の情報を得る2D LiDARや垂直方向に複数のレーザーを重ねて水平方向に回転させることで三次元(X、Y、Z)の情報を得る3D-LiDARなどがあります。2D LiDARは1ライン分のスキャンによって物体を検知し占有グリッドマップの生成に利用されます。このデータからは、対象物や障害物がそこにあるという事実以上の情報を提供することはできません。一方、3D-LiDARは、環境を三次元のポイントクラウドで可視化することで、物体の位置、形状、大きさ、移動速度などより多くの情報を高精度に認識することが可能です。交通道路などより複雑な環境を知覚するためには正確なマッピングが重要となりますが、3D-LiDARの高い解像度と広い視野により実現しています。


3D-LiDARの三次元イメージング・スキャン方式

3D-LiDARのスキャン方式には、メカニカルスキャン(機械的回転)方式とソリッドステート(Solid State)方式があります。メカニカルスキャン方式は、レーザーの発光・検出器をモーターで回転させることで水平全方位360°を測定します。一方、ソリッドステート方式は、回転機構を持たないメカレスで、視野は狭くなる傾向にありますが、機械的な機構がないため故障しにくい特徴があります。電磁式のMEMSミラーで走査させるMEMS方式、二次元アレイ状のレーザーを拡散照射することによって3Dイメージを撮像するフラッシュLiDAR方式、光の位相を制御してビーム角度を変えるフェーズドアレイ方式などがあります。各方式により、視野、解像度や測定可能距離などの仕様が異なります。

Hesaiの3D-LiDARセンサは、通常ラインナップとしてメカニカルスキャン方式を採用したモデルと、OEM向けに最新のソリッドステート方式のモデルがあります。HesaiのメカニカルスキャンLiDARは、何百もの送受信モジュールを統合・最適化したASIC搭載のLiDARモジュールを搭載しており、従来型の製品のように個々の部品を組み合わせた設計から次世代のプラットフォームへと移行しています。このモジュール化により、LiDARセンサのサイズを大幅に縮小し、大量生産による製造コストの低減、製品品質の均一化による信頼性の向上を実現しています。水平全方位360°に対応しているモデルは、このLiDARモジュール全体をモーターにより水平方向に回転させることで、全方位の測定を行っています。垂直方向のレーザー取り付け角度は、モデル毎にその用途に応じて角度が設定されており、長距離測定可能なモデルでは、遠くの測定対象により多くのレーザーが当たるように角度間隔が狭められています。レーザーチャンネル数分のラインをスキャンし、取得した点群をプロセッサーで処理することで三次元データをリアルタイムに生成することができます。


LiDARセンサ vs レーダー

LiDARとレーダーは、測定にレーザーを使うか電波を使うかという違いがあるものの、同様の手法でデータを取得していると上述しました。では、レーザーを採用することで、LiDARにはどのようなメリットがあるのでしょうか。LiDARがレーダーと比較して優れている点の1つとして、精度の高さがあります。LiDARは、レーダーなどの他のセンシング技術に比べて測距精度が高く、より正確で高精度な環境情報の取得が可能です。 LiDARで取得した点群データから高精度な周辺環境マップを作成することができ、マップ内のどこにいるのか高精度に自己位置を算出することができます。また、小さな物体を検出したり、対象物の識別を行ったり、人や車の向きを判断したり、自律走行に必要となるより詳細な情報をリアルタイムに捉えることができます。LiDARセンサは自動運転車やADAS、自動走行ロボット、AGV(無人搬送機)、AMR(自律走行搬送ロボット)、自律走行フォークリフトなどの主要技術として利用が広がっています。


視野(FOV)とレーザーチャンネル数

視野(FOV:Field Of View)は、LiDARセンサが水平と垂直の両方向において、どの程度の範囲を可視化できるかを意味しています。搭載するプラットフォームの全周囲の環境をマップ化するためには、水平360度の視野を取得できるLiDARセンサが必要となります。視野の狭いセンサを複数利用して広範囲を測定することもできますが、死角が発生する可能性があることと、データの統合処理が必要となります。メカニカルスキャン方式のLiDARでは、水平分解能は通常レーザーの照射間隔によって決まりますので、回転速度とのトレードオフとなります。

HesaiのLiDARセンサでは、近距離モデルは垂直方向の視野が広く、長距離モデルは比較的狭い設計となっており、それぞれでレーザーのチャンネル数と配置角度が異なります。チャンネル数とは、1台のセンサに使用するレーザー本数を表しており、垂直方向の点群の密度が決まります。 16/32/128チャンネルのラインナップがあり、チャンネル数が多いモデルはより高解像度なデータを取得することができます。レーザー配置は、各レーザーが水平0°から何度の傾きで配置されているかを表します。Liear(線形)とnon-linear(非線形)があり、等間隔な配置か部分的に解像度を高めているモデルがあります。

水平全方位360° 垂直105°   QTシリーズ
水平全方位360° 垂直30°  XTシリーズ
水平前方120°  垂直25°  AT-128


測定距離パフォーマンス


LiDARセンサを選定する際に、どの測定距離レンジがアプリケーションに適しているかを確認する必要があります。測定距離レンジは、一般的に3つのレンジに分類され、近距離用のショートレンジセンサは通常0~50m、中距離ミッドレンジセンサは~120m、長距離ロングレンジセンサは200m以上に対応しています。低速で走る車両の場合は、車両の近くにある物体が主な検知対象となるため、近距離センサが有効です。一方、高速で移動する車両では、停止距離が長くなるので、安全に走行するためには長距離に対応したセンサが必要となります。多くのLiDARを使用した自動運転システムでは、精度や分解能を高めるために、近距離と長距離の測定距離の異なる複数のセンサを組み合わせて搭載しています。

HesaiのLiDARセンサは各レンジに対応したラインナップがあります。近距離ショートレンジのセンサは、垂直視野が広く、より広い範囲を高精度に取得できるモデルです。中距離ミッドレンジのXTシリーズは、最短ゼロレベルからの測定が可能で、ブラインドレンジがありません。これによりレンズの汚れや接触している遮蔽物などを検知することができます。長距離ロングレンジに対応した高パフォーマンスのモデルでは、10%の反射強度ターゲットを200mの距離まで検出することが可能です。

近距離レンジ QTシリーズ
中距離レンジ XTシリーズ
長距離レンジ AT-128


3D-LiDARセンサ技術のアプリケーション

3D-LiDARは、様々なプラットフォームにおいて、周辺環境を認識する上で重要なセンサ技術となっています。3D-LiDARセンサから得られる高精度な三次元モデルは、各種アプリケーションで採用され、すでに多くの産業で活用が進んでいます。以下に主なアプリケーションを紹介します。

自動運転車(Autonomous Vehicles) 自動運転車は、LiDARセンサ技術の開発と発展により、私達の移動方法を急速に変化させています。3D-LiDARセンサ技術により、自動運転車両はリアルタイムで周囲の環境と状況を把握し、ナビゲーションや障害物の回避において高い精度を実現しています。自動運転によるより安全な運転や移動体験、ロボバス(自動運転バス)やロボタクシーのような無人公共交通機関の実現のために、人の手をほとんど借りずに安全に移動するための高度なセンシング能力が求められます。Hesaiは、自動運転レベルL4+の自律走行基準を満たす高性能LiDARセンサをグローバルに提供し、自動運転車の導入を支援しています。


ロボタクシー

ロボバス(自動運転バス)

ロボバン

ADAS(Advanced Driving Assistant System:先進運転支援システム) 3D-LiDARセンサは、カメラやレーダーと補完し合い高解像度の三次元ビジョンを車両に提供し、車両周辺の物体を迅速かつ正確に検出する能力を備えています。車線逸脱防止、前方衝突回避、自動駐車などにおいて、より複雑な道路状況に対応し、運転をサポートするための知覚能力を強化します。Hesaiは、量産車向けに設計された高性能なオートモーティブグレードのLiDARソリューションを提供し、より安全でスマートな自動運転L2+のアシストドライブの実現をサポートします。



アダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)

ブラインドスポットモニター

アダプティブ・レーン・アシスト

セキュリティと監視(Security and Surveillance) 商業施設やオフィス、空港など人が多く行き交う場所での安全性が求められるようになってきています。3D-LiDARセンサは、人流や侵入者の有無、周囲の状況を正確に把握することができるため、各種施設や貴重な資産などをリアルタイムでモニタリングすることができます。また、 3D-LiDARセンサを利用することで、自律走行するセキュリティロボットやセキュリティ・監視車両をより高い精度と信頼性で運用することができます。

ロジスティクス(Logistics)


ラストマイルデリバリー

物流の未来は、スマートな倉庫管理システムや輸送の効率化、省人化にあります。3D認識機能によって、倉庫内の自律搬送システム、荷物の積載量の把握、効率的な積載方法の算出、自律走行トラック、ラストマイルデリバリーロボットなどあらゆるアプローチが考えられ、配送の迅速化や運用コストの削減、従業員への安全な環境の提供が可能となります。自律走行トラックにおける安全・安心な長距離輸送の実現には、あらゆる天候で長時間走行に耐えられる信頼性・耐久性に優れた自動運転用のハードウェアが必要となります。Hesaiの3D-LiDARは、様々な動作環境に対応するため耐振動や耐衝撃、耐水、耐塵など各種の信頼性試験を行っています。ラストマイルデリバリーは、物流の最終段階で商品やサービスを顧客に届けることであり、LiDARセンサを搭載したデリバリーロボットが利用され始め効率化が進んでいます。

ロボティクス(Robotics) 人手不足が問題となってきている中で、省人化のためロボットアプリケーションの需要が急速に高まっています。Hesaiは、ロボット産業向けに、堅牢で汎用性が高く、コスト効率の高いLiDARソリューションを提供し、屋内外の複雑な環境におけるシームレスな移動を可能にしています。


ロボスイーパー

セキュリティロボット

ドローン・UAV

スマートシティ(Smart city) 自動運転車両やロボタクシー、ドローンやデリバリーロボットによる自動配送システムなど高度に自動化を行うスマートシティでは、正確な都市のマップデータを持ち、常に更新を繰り返すことが非常に重要となります。3D-LiDARセンサは、あらゆる車両、ロボット、ドローンなどのプラットフォームに搭載し、都市の正確な3Dモデルの生成をサポートします。また、道路、交差点、駐車場などに設置し、取得した三次元データを活用することで、速度監視、交通混雑の抑制や交通事故の防止に利用することも考えられます。カメラ映像とは違い点群データで取得するのでプライバシーを侵害することなく、高精度なデータにより車両の種類(乗用車、トラック、オートバイなど)を識別することも可能です。LiDARセンサは、スマートシティには欠かせないソリューションです。

産業用(Industrial) 産業プロセスや産業機器の自動化のために、より多くの分野でLiDAR技術の採用が増えて来ています。HesaiのLiDARセンサは、港湾、物流倉庫、農業などにおいて自律制御が必要とされるアプリケーションに採用されています。港湾ではコンテナや積載物の認識、クレーンの自動化、安全確認で利用され、倉庫物流用途では自動走行ロボット、AGV(無人搬送機)、AMR(自律走行搬送ロボット)、自律走行フォークリフトなどに利用されています。農業分野ではトラクターやショベルなど農機の自律走行や作業範囲の確認と、幅広い産業用途で活用が進んでいます。


港湾の自動化

AGV/AMR

農業機械

Hesai 3D-LiDAR 採用例

Hesaiの3D-LiDARは、米国の自動運転やラストマイルデリバリーなどのスタートアップ企業から高い支持を得ており、今や国際的なビジネスレポートでも高い市場シェアを獲得していると評価されています。量産車向けに前方センシング用の3D-LiDARも開発し、中国のEV車メーカーを中心に市販車のADAS機能強化を目的として採用が急速に進んでいます。自動運転車、自動運転トラック、ロボタクシー、ロボバス、ラストマイルデリバリーロボット、自動走行ロボット、AGV(無人搬送機)、AMR(自律走行搬送ロボット)、測量、マッピングなど幅広いアプリケーションで利用されており、一部採用例をご紹介します。

Li Auto
LOTUS NYO
HiPhi
JIDU
CHANGAN AUTO
SAIC
nVIDIA
zoox
Baidu 百度
WeRide
autox
pony.ai
Aurora
tu simple
SAIC
kodiak
nuro
Meituan
NEOLIX
GEOCUE
BOONRAY
GreenValley
WESTWELL
and more...

Hesai 3D-LiDARの特徴

独自開発のLiDARモジュール

Hesaiは、長年の研究開発により何百もの送受信モジュールを統合・最適化したASIC搭載のLiDARモジュールを開発しました。従来型LiDARセンサのように個々の部品を組み合わせる設計と比較すると、センササイズを大幅に縮小し、大量生産による製造コストの低減、製品品質の均一化による信頼性の向上を実現しています。Hesaiの小型で軽量な最新3D-LiDARは、ADAS用センサとして量産車への組込みも想定されています。HesaiのLiDARセンサによって取得される継ぎ目のない高品質な点群データは、運転補助や自律走行アルゴリズムの効率的な処理を可能にします。

幅広い製品ラインナップ

Hesaiは、近距離、中距離、長距離に対応した自動運転レベルL4+の車両用LiDARセンサをラインナップしています。様々なプラットフォームに搭載でき、様々な場面で利用できる柔軟で堅牢なLiDARソリューションを提供しています。

干渉ノイズ除去機能(特許)

Hesaiのプロアクティブな干渉除去技術は、各レーザービームを個別にエンコードし、エンコードされた信号を持つ反射に対してのみ点群を生成し、その他の信号はフィルタリングされます。外乱光や他のセンサからの干渉ノイズを最小化することができます。

オートモーティブグレード対応モデル

Hesaiのオートモーティブグレード対応3D-LiDARは、自動車用規格に適合するように設計されています。すべての主要部品はAEC-Qおよびその他の関連規格を満たしています。電気的、機械的、気候的、密封的、材料、EMC試験など、国際規格に従って実施された50以上の設計検証試験(DVT)を実施しています。

ISO 26262 ASIL Bに準拠

Hesaiのオートモーティブグレード対応3D-LiDARは、世界的に認められている自動車用ISO 26262 ASIL Bレベルの要件に完全に準拠しており、30種類以上の機能安全診断をカバーしています。診断範囲96%以上、100ms以下のFTTI(fault tolerant time interval:フォールトレラント時間間隔)を実現しています。

自社工場での量産

Hesaiは自社工場でセンサの製造を行っており、迅速で高品質な製品の生産を可能にしています。新しいスマートマニュファクチャリングセンター「Maxwell」は、年間120万ユニット以上の生産を計画しており、グローバルOEMの要求を満たす量産体制と納品能力を確保しています。

サイバーセキュリティ保護

Hesaiの製品開発プロセスは厳格なISO21434規格に準拠しており、セキュアアップグレード、セキュアオペレーション、セキュアブートなど10以上の仕組みにより、ハッキングや改ざんなどのサイバー攻撃から保護する総合的なサイバーセキュリティのリスクマネジメントを行っています。

レーザ安全規格 Class 1 Eye Safe

HesaiのLiDARセンサは全てレーザー安全規格のクラス1に準拠しており、通常の使用条件下では肉眼でも安全です。

ロバスト設計

HesaiのLiDARソリューションは、厳しい信頼性試験に合格しており、厳しい天候や複雑な道路条件でも堅牢で信頼性の高い安定した動作を実現しています。

小型・軽量

HesaiのLiDARセンサは、最適化されたシステムアーキテクチャにより、小型・軽量化を実現しています。ドローンやUAVなどに搭載しても、機体の機敏な動きを維持し、より長く飛行することが可能です。

高いコストパフォーマンス

HesaiのLiDARセンサは、独自のASICを搭載することで、優れた性能を維持したままコスト削減を実現しました。コストパフォーマンスに優れたソリューションにより、各種アプリケーションへの大規模な導入を容易にしています。

Hesai Technology社 製品シリーズラインナップ


シリーズ オートモーティブグレード
XTシリーズ
小型
高精度
QTシリーズ
近距離
超広視野
OTシリーズ
長距離
高解像度
ATシリーズ
前方及び
側面センシング用
FTシリーズ
完全ソリッド
ステートLiDAR
ETシリーズ
Ultra-Thin &
Hi-Resolution
  デモ機・評価可能   ※2025年
以降予定
デモ機・評価可能 ※OEM限定
XT-16 XT-32 QT-128 OT-128 AT-128P AT-512 FT-120 ET-25
チャンネル数 16 32 128 512 120 TBD
測定
距離
0.05 ~ 120m
0.1 ~ 50m ~ 200m 210m 300m 0.1 ~ 22m 1 ~ 250m
  0.5 ~ 250m
FOV 水平 360°
120° 100° 120°
垂直 30° 31°
40.3°
105.2° 40° 25.4° 25.6° 75° 25°
  詳細情報 詳細情報 詳細情報 詳細情報 詳細情報 詳細情報

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